最新技術の無駄遣い|私がほんとに欲しいのは…

世の中は空前のAIブーム、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代です。
日進月歩の最新技術を使えば、業務を効率化したり、世界を変えるような素晴らしいシステムをいくらでも作ることができるでしょう。

…でも、ちょっと待ってください。
私たちが日々の中で、本当に、心の底から「助けてくれ!」と思っている瞬間って、そんな立派なビジネスの課題ばかりでしょうか?

もっと身近で、もっとくだらなくて、人には言えないトホホな問題こそ、ITの力で解決すべきではないのか。

今回は、そんな私が考える、最新技術を無駄遣いした「本当に欲しいシステム(妄想)」です。

愚痴を言うと、部屋がムーディーになる『同情ルーム』

仕事でクタクタになって帰宅した夜。「あーあ、やってらんねぇな…」とボヤいた瞬間、部屋のスマートスピーカーがそのネガティブな声を感知。
即座に部屋の照明が温かみのあるアンバー(琥珀色)に暗くなり、哀愁漂うジャズが流れ、スマート加湿器からアロマの香りが漂い出します。

音声コマンドで「電気消して」と指示を出すのではなく、人間のエモーション(感情)に勝手に家電が寄り添って慰めてくれるシステム。全自動で過保護に甘やかしてくれます。

さらに上位プランでは、利用者の愚痴内容に応じて、スピーカーが最適な相づちを自動生成します。
「それは大変でしたね」「それは相手が悪いと思います」「今日はもう頑張りましたよ」「そのメール、明日でも大丈夫じゃないですか?」
また、一定時間以上の愚痴を検知すると、部屋全体が居酒屋風の照明へ切り替わります。
壁面モニターには、「まあ、一杯やりますか」の文字が表示されます。

問題は一切解決しませんが、利用者の自己肯定感を自然に向上させます。

「言いたいけど言えない…」を変換『逆・オブラートAI』

ビジネスメールの大人の建前に嫌気がさした人向け。
テキストを入力すると、AIが綺麗なクッション言葉をすべて剥ぎ取り、相手のむき出しの本音(暴言または超辛口な正論)に翻訳して出力します。
・誠に恐縮ではございますが、ご要望に沿いかねる結果となりました。→「無理です。」
・社内で慎重に検討させていただきました結果…→「全員反対でした。」
・今後の参考にさせていただきます。→「二度と採用しません。」
・ご期待に添えず申し訳ございません。→「最初からその予定はありませんでした。」
・お送りいただいた資料、拝見いたしました。→「まだ見ていません。」
・スケジュールを確認のうえ、改めてご連絡いたします。→「今は返事したくありません。」
さらに上位版の「経営者モード」では、
・前向きに検討します。→「やらない。」
・課題として認識しています。→「知っているけど後回し。」
など、高度な翻訳にも対応します。

これを使えば、ビジネスの遠回りを一切排除して最短距離で心が折れ、利用開始から3日で人間関係が崩壊しますが、鬼メンタルの形成には効果があります。

【究極のサボり】雨が降った瞬間に『自動で有給申請』

朝起きたら土砂降り。「あぁ、会社行きたくない…」とベッドの中で絶望した瞬間、意思の力を介さずにシステムがあなたを救います。

気象庁の雨雲レーダーを自動監視(スクレイピング)し、自宅周辺に雨粒が落ちたのを検知した瞬間、「低気圧により体調不良のリスクがあるため、これより時間休をいただきます」と、もっともらしい理由を自動入力して申請します。同時にスマホを「おやすみモード」に切り替え、強制的に二度寝へ誘う完璧なワークフローです。

さらに「梅雨シーズンモード」をONにすると、週間予報と連動して「今週は週休4日」といったシフトの自動最適化(?)まで行ってくれます。
出世の道は完全に閉ざされますが、圧倒的な睡眠時間を確保することが可能です。

【知りたくなかった真実】既読スルー原因分析AI

「既読はついているのに返信がない…忙しいのかな?」という淡い期待を、データで跡形もなく粉砕するAIです。

相手の過去のトーク傾向や返信スピードをAIに読み込ませ、解析。
「なぜ今、既読スルーされているのか」の理由を推定します。
・忙しい(仕事・移動中):12%
・後でゆっくり返そうと思っている:8%
・忘れている(通知を見て満足した):15%
・面倒になっている(今これ返すのダルい):65%

私たちがすがりついていた「忙しいのかな?」はわずか12%。全体の3分の2(65%)を占めたのは「面倒くさい」
知りたくなかったかも知れませんが、真実を提供します。

…あ、念のため申し上げますが、今回ご紹介したシステムはどれ一つとして製品化しておりませんし、その予定もございません。弊社にお問い合わせいただいても…多分、作りません(笑)。