ホームページの目的は「問い合わせを増やす」こと。
Web業界では、長らくそれが当たり前でした。
では、お客さまは本当に「問い合わせ」をしたいのでしょうか。
わたしたちは、むしろ「問い合わせをしなくて済むなら、その方がいい」と考えている人が多いのではないかと感じています。
「お気軽にお問い合わせください」が古くなり始めている理由
ホームページのフッターやお問い合わせボタンの横に、お約束のように書かれているフレーズがあります。
「お気軽にお問い合わせください」
「まずはお見積り(無料)」
昔ならこれで良かったし、制作会社やAIのデータ分析も「まずは入り口のハードルを下げて、CV(問い合わせ数)を増やしましょう!」と提案してくる、ド定番のセオリーです。
実際、その通りにボタンを大きくしたり、フォームをシンプルにしたりすれば、問い合わせの「数」は順調に増えていきます。データ上は「大成功!成果が出ています!」という評価です。
でも、その増えたお問い合わせの「中身」に、現場のスタッフが頭を抱えているケースが本当に多いのです。
ITの「大成功」が、現場の「業務妨害」になるケース
「お問い合わせ」のメールボックスを開くと、そこに並んでいるのは…
・あからさまに他社と比較するためだけの、冷やかしに近い「相見積もり」
・社内の稟議や、補助金の申請書類に添付するためだけの「予算確保のための見積もり」
・営業メールやスパムメール
現場は、それらの「まず成約しないと分かっているメール」への返信対応や、お断りの連絡に追われ、本業の大切な時間がゴリゴリと削られていく。完全に無視するわけにもいかないから、真面目に書類を作って、現場のエネルギーをすり減らす。
これでは何のための「お問い合わせ」か分かりません。
パソコンの画面越しに数字(問い合わせの件数)だけを見ているAIや制作会社は、「成果が出ています!」とドヤ顔をしますが、現場にとってはただの「業務の圧迫」でしかない。そんな強烈なミスマッチが、今のSNSも含んだネット社会ではあちこちで起きています。
今のユーザーは「問い合わせたくない」
ここに大きな変化があります。
昔のホームページは、「興味があればお問い合わせください」で成立していました。
でも今のユーザーは違います。
・問い合わせて返信を待つ
・営業担当者から電話が掛かってくる
・見積りをもらう
こうしたやり取りを面倒だと感じる人が増えているのです。
知りたいのは、だいたいの料金や納期の目安などです。
それらを「問い合わせ」の前に知りたい。
今のユーザーは「自分で完結したい」
今のユーザーは、問い合わせて返事を待つ時間や、その後に営業担当者からの電話がかかってくるストレスを嫌います。
そこで、最近の優秀なさービスサイトによく見られる構造は、ユーザーがどんどん奥へ進める形です。
料金表。
導入事例。
FAQ。
比較表。
料金シミュレーション。
なんなら「お問い合わせ」は隅っこに追いやられて、「今すぐ試す」や「購入」「申し込む」「登録」ボタンが置いてあります。
ユーザーはホームページ内で、自分で調べ、確認し、納得を積み重ねて、自分一人で完結させたいと思っている。
そして、納得した上で、最後に問い合わせる。
昔のような、情報を隠して「気軽にお問い合わせしてね」と誘導するだけのサイトは、今の時代、ユーザーから「めんどくさいサイト」として敬遠されてしまうか、逆に「見込み度の低い問い合わせ」ばかりを引き寄せることになってしまいます。
AIに選ばれるサイトも同じ
さらにAI時代は、この傾向が強くなります。
AIは営業トークをしません。サイトに書いてある情報を整理して伝えるだけです。
料金。
納期。
FAQ。
比較情報。
導入事例。
こうした情報が豊富なサイトほど、AIも理解しやすい。
逆に、「詳しくはお問い合わせください」しか書いていないサイトは、AIも説明できません。
問い合わせを増やすために、あえて情報を隠して「お気軽にお問い合わせください」と間口を広げる。
このデータ上の正論が、現場をすり減らし、現代のユーザーやAIからも敬遠される原因になっているんです。
これからのWebサイトの役割
ホームページは役割そのものが変わってきていると感じています。
昔は「問い合わせを獲得すること」でした。
だから、
「お問い合わせはこちら」
「無料見積り受付中」
という導線を強くすることが正解だったのです。
でも今は少し違います。
お客さまは問い合わせの前に、
・料金を知りたい
・納期を知りたい
・対応範囲を知りたい
・自分に合っているか知りたい
そうした疑問を、自分のペースで解消したいと思っています。
つまりホームページは、問い合わせを発生させるものではなく、「納得を積み重ねるもの」になりつつあるのです。
料金表を公開する。
FAQを充実させる。
導入事例を掲載する。
比較情報を用意する。
場合によっては、「こういうケースには向いていません」と正直に書く。
一見すると問い合わせが減りそうですが、実際にはその逆です。
ミスマッチが減る。
お互いに納得した状態で話が始まる。
結果として、商談の質も成約率も上がっていく。
問い合わせの数よりも、「良いお問い合わせ」つまり、問い合わせの質を見ていかなければなりません。
これからのホームページに必要なのは、「問い合わせを増やす仕掛け」よりも、「納得できる情報」を整理して置いておくことだと私たちは考えています。
お客さまは本当は問い合わせをしたいわけではない。
自分の疑問を解決したいのです。
その疑問に先回りできる会社ほど、人にもAIにも見つけてもらいやすくなる。
そんな時代が、もう始まっているように感じています。
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