「ITがよくわからないんです」
こう言う経営者の方、かなり多いです。
「ITのことはさっぱりで、何を相談したらいいかも分からない」
と、申し訳なさそうにそう切り出されることもあります。
そして結論から言うと、それらは全く問題ありません。
ITは「専門職」医者や弁護士と同じです
例えば、体に不調を感じて病院へ行ったとき、私たちは医学の専門知識を持っていなくても恥ずかしいとは思いません。弁護士に法律相談をする際も、六法全書を暗記していく必要はありません。
ITもそれと同じです。
日々進化し続け、専門分化が進んでいるITの世界は、今や高度な専門知識を要する「専門分野」です。プログラム、システム設計、セキュリティ、インフラ…これらをすべて理解する必要があるとしたら、それはもうITエンジニアです。
経営者の仕事ではありません。
経営者の本来の仕事は「最新の技術を知ること」ではなく「会社をどうしたいか」という目的地を決めることです。
経営者に必要なのは「理解」ではなく「判断」
仮に、業務システムを開発するとき、私たちはクラウドの仕組みや使用するデータベースの種類、サーバーの構成といった技術的な話をしたいわけではありません。
・システム導入で経費はどのくらい削減できるのか?もしくは利益は増えるのか?
・競合との差はどう変わるのか?
・コストと効果の損益分岐点はどこか?
といった視点で、このシステムを導入することが正しいかどうかを「判断」することです。
簡単に言うと「儲かるか」「楽になるか」といった経営判断をしていただければいいのです。
「エンジンの構造」を知らなくても、行き先を決めて車を運転することはできます。ITにおけるハンドル操作とは、信頼できる専門家(パートナー)を選び、進むべき方向を「判断」すること。それだけで十分なのです。
現場と経営陣の「温度差」はなぜ起きるのか
実際にあった話です。
ある業務システムの開発依頼を受け、
現場の担当者とかなり細かく打ち合わせを行いました。
・実際の業務フローを整理
・無駄な作業の洗い出し
・導入による時間削減
・コスト削減効果の試算
・投資回収の目安(損益分岐)
ここまでしっかり設計しました。
しかし結果は、経営陣の「そんな費用はかけられない」の一言で終了。
現場の皆さんが抱いていた「これで仕事が楽になる、もっと本質的な業務に時間が割ける」という期待が崩れ去った瞬間は、今思い出しても胸が痛みます。
◆問題は「社内の分断」
この場合、問題は導入システムの良し悪しではなく、
・現場は「必要」と感じている
・経営は「高い」と感じている
このギャップです。
つまり、社内での議論が足りていない状態なのです。
「よくわからないから、とりあえず保留」
その一言で、現場の改善意欲まで奪ってしまわないために、その投資が「本当に価値あるものか」を、共に考え、判断の材料にする必要があります。
◆「今できている」は、危険なサイン
「今のやり方で、回っている。コストをかけてまで変える必要があるのか?」
確かに、今この瞬間は「人力」で何とかできているかもしれません。しかし、WebやITの世界、そして競合他社のスピードは、想像する以上の速さで加速しています。
自社が「1日」かけて人力で行っている業務を、競合がITを活用して「1時間」で終わらせているとしたら?
その差は、単なる作業時間の差ではなく、競争力の差となって現れます。
◆「マンパワー」には限界があり、リスクがある
「なんでも人力で」という体制は、実は非常に脆いものです。
・属人化のリスク
その人がいなくなったら、業務が止まってしまう。
・ミスの誘発
疲弊した現場での手作業は、必ずヒューマンエラーを生む。
・採用の壁
「アナログな環境」は、優秀な若手人材から選ばれにくい。
いつまでも気合いと根性でカバーし続けるのは、今の時代、もう不可能です。
👉【社内に「ITに詳しい人」がいる会社の落とし穴|それ、ほんとに大丈夫ですか?】
👉【企業の情報システム担当者が陥りやすいこと】
IT投資はコストではない
経営者の仕事は「今を維持すること」ではなく、「5年後、10年後の自社が生き残っている状態を作ること」です。
現場が疲弊し、競合に大きく差をつけられてからでは、取り戻すのに何倍ものコストと時間がかかります。「今、できている」うちに、次の一手を打つ。その「決断」こそが、会社を、そして現場のスタッフを守ることになるのです。
IT投資はコストではありません。
・効率化
・ミス削減
・スピード向上
・データ活用
など、すべてが競争力になります。
経営者がやるべきたった一つのこと
ITを理解する必要はありません。
必要なのは「正しい情報をもとに判断すること」
ITがわからないことは、恥ずかしいことではありません。
しかし、判断をしないことはリスクです。
「今のままでいいか?」ではなく、
「このままだとどうなるか?」
この視点で考えることが、これからの経営には必要です。
IT投資の「経営判断」
必要なのは、
・現場の声を聞く
・数字で比較する
・外部の専門家に相談する
この3つ。
大規模なIT化をする必要はありません。
費用をかければいい、という話でもありません。
重要なのは、
「どこに投資すれば効果が出るのか」を見極めること。
その判断の積み重ねが、会社の未来を変えていきます。
「何を聞けばいいか、わからない」から始めてください
「何を聞けばいいかわからない」
その状態からで大丈夫です。
経営の現場で感じていることを、そのままお聞かせください。
ITの「翻訳者」として経営判断をサポートします。